2005年03月11日

ローレライ 妻夫木の罪とは

ちょっとネタバレに近い物があるかもしれません。ネタバレを好まない人はお読みにならないことを勧めます。



私がここ以外にに書いたローレライ関連の記事です。
03/01「ローレライの予告を見て…
03/03「伊507って…
03/06「ローレライ
03/10「ローレライのフィギュア
03/11「ローレライ 妻夫木の罪とは」
03/13「ローレライ 下地にある物は…
03/15「ローレライ ショック!やはり707が…
03/22「ローレライよりローレライらしい本…




私は、正直な話「妻夫木聡」という名前と、この俳優の顔は、この映画で初めて一致しました。
(蛇足ですが、「北の零年」で「トヨエツ」って言葉があちこちに出てくるのを見て、何のことだかよく分からなかったのも事実)
その妻夫木を「冗長で無駄」とばっさり切り捨てた物ですから、結構後味が悪いのです。(私は小心者なのです)そこで、姑息ではありますが、なぜ妻夫木不要論を唱えたのか、ここで少しだけ言い訳をさせていただきたいと思います。

「祖国を守るため」に「東京に原爆を落とさせないため」に潜水艦でいわば特攻を仕掛ける訳ですが、ここに「回天(特攻魚雷)の生き残り」を乗せた事は「この船は特攻をさせない」というメッセージでもある訳で、それは映画の中でもうまく表現はされていました。しかし、「終戦間際」「原爆」という現実味を帯びた話を展開する割に「ローレライシステム」という非現実を搭載して、それを中心に物語を作る訳ですから、その艦内の雰囲気はリアルな日本海軍であって欲しかった。まじめな、リアルな中に非現実があるからこそ、その非現実を「少しくらい受け入れるか」と思えるのです。しかし、妻夫木が画面に出ていたことで、その現実味が全てスポイルされ、全てが作り事の世界になってしまったのです。それが何かをこれからまとめてみます。
態度
上官が黒と言えば白い物も黒の日本帝国軍で(だから戦争に負けたんですが…)、あれだけ口答えをする事が許されるはずがありません。それ以前にあんな髪型が許されることもあり得ません。どちらも精神棒でぶん殴られるだけでしょう。

清潔感
巨大な戦艦でさえ乗組員は丼一杯の水で体を洗って、洗顔し、歯を磨いていました。水は有限の貴重な物ですから、そんな程度しか割り当てられなかったのです。潜水艦ならもっと少ない割り当てになるでしょう。ですから、清潔であるはずがないんです。しかし、映画の中の人たちはみんな1日何回お風呂に入って居るんだろうって清潔感にあふれていましたね。

思想
終戦間際になれば「日本は負ける」と思っていた人も多かったかもしれません。しかし、日本人は「天皇は神の子であって、皇軍日本が鬼畜米英に負けるはずがない。最後の一人になるまで戦うぞ」と竹槍で上陸してきた敵を全て突き殺すつもりで訓練をしていたのです。戦局がどんな不利になっても、天皇と日本の勝利を信じ続けてきたのですが、あの終戦の日に天皇がラジオで「タヘガタキヲタヘ」と放送した事で、多くの日本人が「天皇が神と信じて息子を戦地に送り出したのに」と自決をしたんですよ。それ位、日本人は戦争をするのが天皇のため、国民の義務と信じていた訳です。そう言う背景を考えて、更に終戦前の日本では「男女七歳にして席を同じうせず」と尋常小学校などは男女別々の教室、別校舎で教育を受けていましたし、当時のエロ本に載るグラビアと言えば、ブルマーのようなズロースと大きなブラをつけている女性が描かれていて、これでも「破廉恥」だった時代です。

そんな事を頭に入れて、妻夫木の役をもう一度見直してみてください。どうしたら、そんな時代の青年が、それもこんな時代ですから多分童貞か、又は回天で出撃が決まりかけていたならその辺りの郭で童貞を捨てたばかりで女の扱いどころか接したことなどもほとんど無いであろう兵隊(妻夫木)が、パウラの肌を大きく露出した衣装を目の当たりにして、まともに対応出来るのか、そして上官へ当然のように口答えし、戦争の目的よりパウラを思いやる気持ちが優先する兵隊が存在出来るのか理解に苦しむのです。

先の評で、私は「ゴジラの映画では、ゴジラが居ることが当然の世界と言う前提を受け入れる必要がある」と書きました。そして、この映画には、上にあげたようなことも許されている世界であると言う前提が必要なのかもしれません。しかし、先に書きましたように、あり得ない話をありそうな時代背景に盛り込んだドラマだからこそ、締めるべき所を締めないと現実味を持っていないとスポイルされてしまう訳です。それこそスターウォーズのように「昔々あるところで」と始ってくれるなら、どんな状況でも受け入れられたと思うんですけれどね。そんなドラマですから、その全てを断ち切る役目をした妻夫木がA級戦犯であると私は結論づけた次第です。
posted by lunatic at 11:38| Comment(5) | TrackBack(23) | 評価の付け足しなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、私も昨日鑑賞してきました。
物語の内容はまあ仕方ないとしても
妙な清潔感が気になってしまいました。
潜水艦など特に水が貴重なのに・・」と
思ってしまいました。
Posted by じゅんぼう at 2005年03月12日 10:57
コメントありがとうございます。
そうなんですよねぇ。気にならなければもっと楽しめたのかもしれないんですけれど、そう言う所って気になってしまいますよね。同じ思いをした人が居てくれて心強いです(^^;
Posted by lunatic at 2005年03月12日 12:31
思想に関してですが、今も昔も、日本人は建前と本音を使い分けます。実際空襲空襲また空襲で、いい加減負けてもいいから戦争なんて終わってくれないかなと思ってた人は少なくなかったと思いますよ。ただ、人前では口にしなかっただけのことで。実際終戦間際には、軍や天皇を誹謗中傷する流言蜚語が急速に増えたそうですから。人間なんてそんなもんですよ。

自決した人ってのも軍人関係者以外にはあまりいなかったんじゃないかな。彼らは面目を失ったわけだから、死ぬしかないでしょうが、普通の国民にしてみたら、そんなことどうだってよかったわけでしょう。
Posted by 通りすがり at 2005年03月15日 20:46
コメントありがとうございます。
都市部では連日の大空襲に晒されて、「大本営の発表なんて嘘じゃん」と言う気持ちはあったと思います。しかし、都市部から離れ、軍事施設のない地域では、敵の姿など見たこともなく、とても平和に暮らしていたんですよ。私の田舎では、兵隊さんは南方の島に出兵して玉砕しましたが、その田舎の地でみた「戦争」と言えばそれらの兵隊さんが訓練をしていた所を見た位で、兵隊さんの訓練と出兵の見送りと食糧事情などを除けば戦争らしい事は無かったそうです。そんな地でも、未だ戦争を経験した世代の人たちは「天皇」と聞けば「ありがたやありがたや」と頭を下げます。
大本営の発表を100%鵜呑みにしていたかは兎も角、自決した人の多くは「天皇は神の子であり、その御言葉として子供を兵に差し出せと言うから差し出したのに、今(玉砕放送)になって、自分も人のことは何事か。何のために子供を差し出したのか。子供を返せ。」と言う理由だったのです。逆に軍部での自決は思ったほどでもなかったと思われます。多分、前から戦局が分かっていたからでしょう。

「メディアを抑えて都合の良い情報しか流さない」というのは、多くの人を支配するのにとても都合が良いのです。
今の北朝鮮を見てみれば分かると思いますが、中央集権で権利が集中し、放送はそこが握っています。そして当面の敵としてアメリカや日本をあげて、それが攻めてくるから皆は貧乏に耐えろ。日本人は悪者だと言う情報だけを流している訳です。国民はそれを信じて、更に将軍様万歳とまるで洗脳されたような状態になっていますね。最近までの韓国でも同じような教育をしていましたし、中国も一緒です。もっと身近であれば、日本でもオウム真理教が同じように情報を操作して狂信者を作り上げていたことを思い出せば、当時の日本国民の状況も分かるのではないでしょうか。集団の力、マスメディアの情報操作というのは簡単に狂信者を作り上げます。そうだからこそ、近代の戦争のセオリーは「まず、メディアを抑えろ」と言うことになるのです。

と、まじめなレスをしてみました。
Posted by lunatic at 2005年03月15日 22:04
あまりにも無知なブログを書かれているようなので、何点か訂正しておきます。
@伊507は正確にはドイツが作ったUボートではありません。フランスが建造した、シュルクーフという実在した潜水艦がモデルとなっています。それがフランス→ドイツ→日本と流れてきているわけです。

A日本がドイツからUボートを接収するなど不可能と断じておられますが、何が根拠なのでしょうか?実際に日本は、ドイツ降伏前後に伊501から506まで、実に6艦ものUボートを接収しています。伊507は7艦目の接収艦という設定なのです。

B潜水艦内の風紀に関しては、他の艦艇と比べて格段に゛ゆるい゛のが現状でした。日々の業務が過酷を極めること、また潜水艦という密室に長期間閉じ込められていることなどの理由から、上下関係や規律は最低限に留め、家族的な雰囲気が形成されていたのです。経験者の回想記にもそのような記述は多々ありますし、兵卒であっても艦長と気楽に話ができるのが潜水艦なのです。

C妻夫木聡の髪型が許されるはずがないと書かれていますが、何が根拠なのですか?爆雷攻撃を受けたとき、艦が前後左右に傾いたときなど、狭い艦内で頭部を保護するために、あのような髪型は黙認されていたのです。
全体的に、浅薄な知識に基づいた議論が目立ちます。
きちんと史実を勉強してください。
Posted by 霞 at 2008年10月09日 07:34
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