この映画評の日時は、その映画を見た日時に合わせています。それを見れば分かるように、今日2月1日は映画の日なので、普通の値段なら躊躇する邦画を3本連続してみていて、この「サヨナライツカ」が3本目。
いつもは「邦画は見る価値がない」「脚本が駄目なんだ」と辛口批評なのですが、先に見た2本は「結構面白い」と素直に思えました。だからこそ、「3匹目のドジョウは柳の木の下にはいないだろう」と思えてならなかったのですが…それは見事に裏切られました。
先の2本(「今度は愛妻家」と「おとうと」)と比べると、この映画が一番出来が悪いと思います。でも、その3本の内1本だけDVDを買うとなったら、多分私は迷わずこの「サヨナライツカ」を取ると思います。
先の2本も確かに面白かった。映画の出来ではこの映画より上です。しかし、この映画は「映像を見せる」というところにもの凄く凝っていて、映像を所持するならこれと思わせてくれるのです。
正直、映画は中だるみが結構ありました。最初の中山美穂さんの出てくるシーン、そして主人公2人の絡むシーンは本当に素晴らしい出来です。それが、次の転換期に来る辺りから主人公がなぜこのような行動を取ったかの言い訳めいた画像が多くなり、それが無駄に繋がっていくように思えるのです。その無駄が無駄を呼び、ようやく辻褄を合わせたところで最後の転換期を迎え収束します。
素晴らしい脚本という物は、無駄をそぎ落として一切の無駄がなくなった物の事を言うのだと思います。今日見た「おとうと」はそれに近い物を感じました。しかし、この映画は残念ながら東垣内の(沓子と激しく恋に落ちた時代から見て)未来の説明に無駄に長い尺を費やして映画を平凡な物に貶めているように思えるのです。
しかし、先にも書きましたように、この映画の画像はとてもきれいです。一部、凝りすぎて見にくいと思う場面もありましたが、なんて言うのでしょうね、勝手な想像ですが、原作が夫だから、自分が映像化したいと中山美穂さんが言い、中山美穂さんが主演だから映像を美しい物にしなければならないと奮起した…そんな連鎖があったような感じがします。あくまでも「感じがする」ですけれどね。
兎にも角にも中山美穂さんを撮る光の使い方が凄いです。そう、乱暴に言っちゃうと、ストーリーなんて放って置いて、中山美穂さんの登場するシーンを無声で切って繋いだとしても、それで1つの作品になるんじゃないかと思えるのです。
(失礼な言い方ですが)ジャリタレ(自称)アイドルがただ撮られているような画像とは全く違って、絡みのシーンでもそのポーズと光がよく計算されていると感じました。
加えて、同じキスシーンでもテレビドラマの中でアイドルが披露するような固く結んだ口をゴツンとぶつけるような衝突キスと違って、やはり中山美穂さんのキスシーンは熟女の魅力たっぷりで美しかった。
あ、一応言っておきますけれど、私は芸能活動をしていた時代の中山美穂さんって殆ど知りません。興味のないジャリタレアイドルに分類されていたので…ですから、変な偏見を持って言っている意見じゃないんですよ。この映画だけを見て感じた美しさがありましたと言う事です。
今日見た3本、どの映画ももう一度見てみたい。見ても良いと思います。いや、見応えのある映画を続けて3本も見るなんて、本当贅沢名1日でした。
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